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『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』感想・レビュー|調書からじわじわ侵食するモキュメンタリーホラーが怖い【やまだのぼる】

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「もし、この調書が本物だったら――。」

 

『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』は、警察署に保管された不可解な調書をもとに真相を追う、モキュメンタリーホラー小説です。

 

調書や取材記録を読み進めるうちに、少しずつ現実との境界が曖昧になっていく恐怖が魅力の一冊。

 

因習村ホラーや『近畿地方のある場所について』のような作品が好きな人には特におすすめです。

 

今回は『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』をネタバレなしでレビューします。

 


ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料 (角川書店単行本)

 

 

 

 

 

『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』あらすじ・書籍情報

 

 

あらすじ

 

けずってくれませんか

 

筆者のもとに持ち込まれた、K警察署への告発の記録。 それは非常に奇妙なものであった。

 

警察官の尾野(仮名)が密かに収集していたのは、K警察署に保管されていた複数の供述調書。そこに記された供述人とのやり取りの内容は、取るに足らないものばかりで作成意図も不明である。

 

しかしときに、「同僚が一心不乱に壁をカッターで削っている」「黒ずんだ木像から不気味な呼吸音がする」という薄気味悪い調書もあり、さらに"こしえさん"という人物が頻繁に登場するのだ、と尾野は言う。

 

こしえさんとは一体誰なのか。何をしようとしているのか。 そしてK警察署が隠蔽する恐ろしい事実とは。

 

KADOKAWAオフィシャルサイトより引用

 

 

 

書籍情報

 

  • 著者:やまだのぼる
  • 刊行日:2026年2月13日
  • 出版社:KADOKAWA
  • ジャンル:モキュメンタリーホラー・因習村ホラー・カクヨム発ホラー
  • ページ数:336ページ

 

 

 

 

『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』感想

 

 

調書を読むだけなのに怖いモキュメンタリーホラー

 

主人公はフリーのオカルトライター・飯田。

ある日、警察の内部告発を取材してほしいという依頼を受け、K警察署に残された調書や証言を調べ始めます。

私はモキュメンタリーホラー小説を読むのは今回が初めてでした。

最近は『近畿地方のある場所について』のヒット以降、このジャンルの作品を見かける機会が増えた気がします。

 

モキュメンタリーホラーとは、実際の記録やドキュメンタリーのような形式で物語が進むホラージャンルのことです。フェイクドキュメンタリーとも言います。

映画では『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』が有名。好きな作品です。

 

本作は調書や取材記録を中心に物語が進むため、本当に実在する資料を読んでいるような感覚になります。

ドキュメンタリーを読んでいるようなリアリティがありながら、少しずつ違和感が積み重なっていく演出がとても上手でした。

 

 

 

ホラー小説が苦手でも読める

 

調書や記録というワンクッションがあるからか、物語に飲み込まれすぎず、ほどよい距離感を保ちながら読めました。

ホラーとしては、じわじわ不気味さが広がるタイプで、「夜に思い出して眠れなくなる」というより、読み終えたあとにじわっと怖さが残る感覚です。

私はホラー作品は、小説がいちばん怖い媒体だと思っています。

それでも本作は怖すぎることはなく、不気味さと読みやすさのバランスが絶妙でした。

 

映画のモキュメンタリー作品は画面酔いしてしまう私でも、小説なら気にならず最後まで楽しめました。

モキュメンタリーホラーを読んだことがない人にも入りやすい一冊だと思います。

 

 

 

 

因習村ホラー好きなら間違いなく楽しめる

 

本作は、いわゆる因習村ホラーの魅力がたっぷり詰まっています。

 

閉鎖的な村。

昔から続く奇妙なしきたり。

そして、少しずつ見えてくる得体の知れない存在。

 

「こしえさん」という名前が何度も調書に登場するのですが、その正体が分からないまま物語が進むので、とにかく気になってページをめくる手が止まりませんでした。

 

ホラーとミステリーがうまく融合していて、最後まで夢中で読めました。

 

 

 

 

書籍版だからこそ味わえる没入感

 

本作はカクヨム発の作品です。

 

途中まで無料で読めるので雰囲気を試すこともできますが、個人的には書籍版をおすすめしたいです。

 

調書や資料のレイアウトが本物らしく作られていて、紙で読むことでモキュメンタリーらしい臨場感がより伝わってきました。

 

作品の世界観を味わうなら、ぜひ書籍で読んでみてほしい一冊です。

 

 

まとめ

 

『ある警察官の奇妙な告発にまつわる諸資料』は、調書や取材記録を通して少しずつ恐怖が現実へ侵食してくる、モキュメンタリーホラー小説でした。

 

因習村ホラーらしい閉鎖的な空気や謎が魅力で、ホラー好きはもちろん、『近畿地方のある場所について』のような作品が好きな人にもおすすめです。

 

ホラーとして怖いだけでなく、資料を読み解いていくミステリーとしての面白さもあり、最後まで夢中になって読み進められました。

 

調書を読み進めるだけなのに、「これ、本当にあったことなのでは?」と思わされるリアルさも魅力。

モキュメンタリーホラーを読んだことがない人にも、ぜひ体験してみてほしい作品です。

 

「リアルな資料を読んでいるようなホラーを味わいたい」という人は、ぜひ書籍版を手に取ってみてください。

 

 

 

 

👇モキュメンタリーホラーが気になった方は、こちらの作品もおすすめです。

 

 


文庫版 近畿地方のある場所について (角川文庫)

 


ダクダデイラ

 


三重県津市西区平山町3-15-7