読んで観て感じて byこよる

本・映画の感想を綴るブログ

荒木あかね『ちぎれた鎖と光の切れ端』感想・レビュー|文庫化!二部構成で魅せる連鎖殺人ミステリ

※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。
※本記事で紹介している作品は、配信サービスの都合により予告なく配信終了となる場合があります。

 

 

2026年4月15日に文庫化される『ちぎれた鎖と光の切れ端』。
“Z世代のアガサ・クリスティー”とも称される話題作。

本記事では、単行本読了時の率直な感想をもとに、本作の魅力をネタバレなしでご紹介します。

“一冊でここまで印象が変わるのか”と驚かされた一作でした。

 


ちぎれた鎖と光の切れ端

 

 

『ちぎれた鎖と光の切れ端』あらすじ・書籍情報

 

あらすじ

江戸川乱歩賞受賞第一作

2022年のミステリーランキングを席巻したZ世代のアガサ・クリスティーが描く哀しき連鎖殺人

「私たちが絆を断った日、島は赤く染まった。」

復讐を誓う男がたどり着いた熊本県の孤島(クローズドアイランド)で目にしたのは、仇(かたき)の死体だった。

さらに第二、第三の殺人が起き、「第一発見者」が決まって襲われる──。

 

あの「悪夢」から抜け出るためには、一度、世界を壊さなければいけなかった。



2020年8月4日。島原湾に浮かぶ孤島、徒島(あだしま)にある海上コテージに集まった8人の男女。その一人、樋藤清嗣は自分以外の客を全員殺すつもりでいた。先輩の無念を晴らすため──。しかし、計画を実行する間際になってその殺意は鈍り始める。「本当にこいつらは殺されるほどひどいやつらなのか?」樋藤が逡巡していると滞在初日の夜、参加者の一人が舌を切り取られた死体となって発見された。樋藤が衝撃を受けていると、たてつづけに第二第三の殺人が起きてしまう。しかも、殺されるのは決まって、「前の殺人の第一発見者」で「舌を切り取られ」ていた。

 

そして、この惨劇は「もう一つの事件」の序章に過ぎなかった──。

 

帯より引用

 

書籍情報

  • 著者:荒木あかね
  • 刊行日:2023年8月30日
  • 出版社:講談社
  • ジャンル:ミステリ
  • ページ数:464ページ(単行本)|450ぺーじ(文庫本)


『ちぎれた鎖と光の切れ端』感想

感想①:第一部|犯人(未遂)視点のクローズドサークルが面白い

舞台は熊本・天草の孤島。
海上コテージに集められた男女8人の中に、“全員を殺すつもりの人物”がいるという設定。

この時点でかなり惹かれました。

しかも視点は、まさかの「犯人(になりそこねた側)」。
自分が殺すはずだったのに、別の誰かが先に殺していく――。

・殺されるかもしれない恐怖
・計画を邪魔された焦り
・やってもいない罪を被るかもしれない状況

このバランスがとても良くて、終始ハラハラしながら読み進めました。

さらに「第一発見者が次の被害者になる」というルールも不気味で、真犯人の正体が見えない不安感が物語を引っ張っていきます。

第一部だけでも、かなり満足度の高いクローズドサークルでした。

 

 

感想②:第二部|雰囲気が一変する“もう一つの物語”

第一部から三年後、大阪が舞台の第二部へ。

ゴミ収集の仕事中に死体を発見した女性・横島真莉愛。
そして再び現れる、「舌を切り取られ」「第一発見者が狙われる」という連鎖殺人。

ここで物語の雰囲気が大きく変わります。

正直、第一部を一気に読んだあとだと、最初はリズムをつかむのに少し時間がかかりました。
また、主人公のキャラクターにもややクセがあり、入り込みにくさを感じる部分もあります。

ただ、それも含めてこの作品の特徴だと思いました。

第一部とはまったく違う角度から物語が展開され、結果として「一冊で二度美味しい」構成になっています。

 

 

感想③:古典ミステリのオマージュ|納得の“Z世代のクリスティー”

本作は、いわゆる古典ミステリへのオマージュが色濃く感じられる作品です。

第一部はクローズドサークル、第二部は連続殺人という構造。

そのため、ミステリに慣れている方であれば、ある程度の展開は予想できるかもしれません。

ただ、それでもなお「なるほど」と思わせる構成力があり、帯の“Z世代のクリスティー”という言葉にも納得しました。

一方で、動機の部分にはもう少し説得力がほしかったと感じるところもあり、そこが惜しいポイントでもあります。

 

 

気になった方は、ぜひチェックしてみてください👇

▶『ちぎれた鎖と光の切れ端』をAmazonでチェックする

 

まとめ

犯人(未遂)視点で描かれる緊張感あふれる第一部と、雰囲気が一変する第二部。

構成の違いを楽しみながら読み進められる、非常にユニークなミステリでした。

古典ミステリへのオマージュが強いため、意外性はやや控えめですが、その分、スリルや不気味さ、構成の巧みさをしっかり味わうことができます。

ミステリ好きの方はもちろん、「少し変わった構成の作品を読みたい」という方にもおすすめの一冊です。