悪名高き“アナベル人形”の恐怖は、いったいどこから始まったのか──。
『アナベル 死霊人形の誕生』は、シリーズの中でも最も重要な“起源”を描いた一作です。
「愛する娘をもう一度抱きしめたい」──その純粋な想いが、恐怖の扉を開いてしまいました。
舞台は孤児院。無垢な少女たちと、恐ろしい人形との因縁が紡がれていく、恐怖の始まりの物語です。
あらすじと映画情報
あらすじ: 最愛の娘ビーを失った人形職人マリンズ夫妻。悲しみに暮れる中、夫妻は閉鎖した孤児の少女たちとシスター・シャーロットを自宅に受け入れる。だがその家には、かつて封印された“ある人形”が隠されていた。ひとりの少女ジャニスが人形と接触したことから、次々と怪異が起こり始める──。
- 原題:Annabelle: Creation
- 公開年:2017年
- 製作国:アメリカ
- 上映時間:109分
- 監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
- 脚本:ゲイリー・ドーベルマン
- 出演者:ステファニー・シグマン、タリタ・ベイトマン、ルル・ウィルソン
- ジャンル:ホラー/スリラー
ネタバレ無し感想
『アナベル 死霊館の人形』の前日譚である本作は、テンポよく恐怖が襲いかかる典型的なホラー演出に加え、孤児たちの無垢さとマリンズ夫妻の過去が重層的に絡み合い、ただのジャンプスケアに終わらない“物語性”のある恐怖を描いています。
特にリンダ役、ジャニス役の少女の演技が上手い。観客の共感と緊張感を背負う存在となっていました。シスター・シャーロットの落ち着きと芯の強さも好印象で、彼女の存在が物語全体のバランスを取っています。
前日譚的なストーリーで魅せるホラーなので、手っ取り早くホラー楽しみたい人には向かないかもしれません。
本作はアナベルシリーズとして時系列的には一番古い話ですが、公開順に観ることをお勧めします。そのほうがより本作をより楽しめるはずです。
ネタバレ有り感想
悲しみが呼び寄せた呪いの原点
物語は、娘ビー(アナベルの愛称)を亡くしたマリンズ夫妻が“何か”にすがったことから始まります。奥様の「愛する娘に会いたい」という一心が“怪しげな力”を呼び寄せ、ビーの霊が人形に宿ることを許可してしまう──。この時点で「ああ、もうダメだ」と察しますよね。結局それはビーではなく、悪魔だったわけです。
「夫人が顔にお面をつけてる」のはその代償であり、喪失の痛みが物理的にも精神的にも彼女を蝕んでいた証。静かに語り出すシーンは不気味で、マリンズ夫妻の“償い”の感情は見えます。だからといって巻き込まれた人たちからしたらたまったもんじゃありません。
少女ジャニスと乗っ取られた“アナベル”
車椅子の少女ジャニスは、悪魔に目をつけられ、徐々に心と体を乗っ取られていきます。アナベル人形に惹かれるようにして彼女は接触し、やがて完全に“別の存在”へと変貌。
リンダが人形を井戸に捨て、引きずり込まれそうになるシーンは、心臓が止まりそうなほどの緊張感に満ちていました。シスター・シャーロットの決死の行動によって、なんとかリンダは一命を取り留めます。
ただ、こうしたハラハラする展開に至るまでがやや長く、少々中だるみを感じました。後半でもう少し怒涛のホラーラッシュで盛り上げてくれたら、より満足感があったように思います。
最終的に、ジャニスは行方不明になり、神父が言うにはアナベル人形から「悪魔は抜けた」と。じゃあ悪魔はどこへ?という疑問は持たないのだろうか……。もちろん悪魔はジャニスへと乗り移っているでしょう。そうでしょうとも。
そしてアナベルの“次章”へ
最後に、行方不明になっていたジャニスは聖ヨアヒム孤児院に引き取られていました。ジャニスは“アナベル”と名乗っているという驚愕のオチ!このアナベルを養子として迎え入れたのがヒギンズ夫妻。
そう。このヒギンズ夫妻が12年後にアナベルに殺害されたのが『アナベル死霊館の人形』です。アナベルシリーズ前日譚として繋がりました。
ヒギンズ夫妻がアナベル(ジャニス)を養子にする際、赤毛で三角鼻の“本物のアナベル人形”を思わせるプレゼントが登場するのも、ホラー好きにニヤリとさせるポイントでした。
まとめ
『アナベル 死霊人形の誕生』は、ただ怖いだけのホラーではなく、「喪失と悔恨」「信仰と悪魔のせめぎ合い」「無垢と呪いのコントラスト」など、深いテーマが丁寧に描かれた物語性のある一作です。
「なぜ封印した人形を家に置いたままなの?」といったツッコミどころすら、むしろホラー映画としての“お約束”として楽しめてしまうのも本作の魅力。
アナベルという存在がどこから来たのか──その“恐怖の原点”を知ることで、シリーズ全体がより怖く、より面白く感じられるはずです。
以上、映画『アナベル 死霊人形の誕生』こよるの感想でした₍ᐢ..ᐢ₎⊹
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